大石内蔵助がむすこ、主税に、伝授する「実践的プロジェクトマネジメントの極意」
【ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント その3(抵抗勢力へのエンゲージメント(1))】の①
主税: (ひとりごと)
江戸急進派のエンゲージメント・マネジメントを行う必要がある。
先に、江戸への説得の使者は逆に説得されて失敗に終わった。
あれほど自信満々で江戸急進派の説得は儂にお任せあれと言っていたのに何故逆に説得されたのであろうか。
原惣右衛門、潮田又之丞、中村勘助ら錚々たるメンバーである。
また、そのあとの進藤源四郎と大高源五においてもやはりおねじ結果であった。
皆父上の戦略、戦術を十分ご理解していなかったのか。
はたまた、父上の遊蕩のせいで父上そのものがみなに信用されていなかったのではないだろうか。
そうだとすれば、このプロジェクトの最高責任者であり、プロジェクト・マネジャーである父上自らが直に説明、説得するしかその解決の道はあるまい。
先に「ステークホルダー・マネジメント計画書」の説明をしたおりには、父上もその変更した計画を納得していたので、やはりその計画に沿って諸準備を行うことに致そう。
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【ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント その3】の②
主税: 父上! 江戸会議開催の要領を作成致しましたので、説明させて頂きます。
内蔵助:うむ! お願いする。
主税: 父上もご承知の通り、先の説得の使者も江戸急進派に逆に同調してしまいました。
かれらから送られてきた書状にも、今すぐにでも討ち入りを決行しなければその機会は永遠に訪れないであろうとの強い口調で書かれております。
が、しかし父上のお考え通り、屋敷替え直後では、反って、警備が強固になっているでしょうから、失敗する可能性が高いものと存じます。
ただ、江戸市中においては、主君仇討ちに対する赤穂浪士への期待感が高まっていることが、彼らを討ち入りへ急き立てているのでございましょう。
また、意図的にその気(仇討ち)がない様に見せるため、やむなく遊蕩している父の姿が、浪士の方々にも本当にその気がないのではないかと思わせてしまっているのではないかと考えられます。
したがって、
1. 先ずプロジェクトの目的、目標及び方針
2. そして、それを実現するための戦略
3. 特に、これまで味方にさえ明かさなかった父上の遊蕩などの振る舞いの意図
などこれまでの父上の振る舞い上の誤解を解くことも含め、包み隠さず共有することが何よりもまして重要かと考えまする。
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【ステークホルダー・エンゲージメント・マネジメント その3】の③
内蔵助:おう、 主税、そこまで理解しておったか。
わしは、うれしいぞ。
そうじゃ主税、 今が我々の戦略の全てを共有化し一致団結するときじゃ、早速準備が整い次第、江戸へ参ろう。
ただ、我々の動きは、吉良側の間者が目を光らして居る。
また、江戸までの関所を問題なく通過するのも困難を極める。
その点も含めて準備万端頼むぞ。
主税: 心得ましてござりまする。
【ステークホルダー・エンゲージメント その3】おわり
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