大石内蔵助がその息子主税(ちから)に伝授する「実践的プロジェクトマネジメントの極意」【ステークホルダー特定 その2】

大石内蔵助が、その息子、主税に、伝授する「実践的プロジェクトマネジメントの極意」

 

【ステークホルダー特定 その2(ステークホルダー特定に必要なインプット情報を確認する)】の①

 

内蔵助:それでは先ず、どのような人々がステークホルダーなのか見ていくことに致そう。

ステークホルダーの定義に、
・プロジェクトの意思決定、アクティビティ、成果に、① 影響したり、② 影響されたり、③ 自ら影響されると感じる「個人」、「グループ」および「組織」であると言っている。

主税: そうでございますね、ですが、これだけではステークホルダーを特定することは難しいものと存じます。

【ステークホルダー特定 その2】の①おわり

**

【ステークホルダー特定 その2】の②

 

主税:いったいどのような情報をもとにして調べればよいのでしょうか。

内蔵助:うむ、PMBOKガイドでは、以下のような情報をもとに特定、分析しなさいと言っておる。

・プロジェクト憲章
・調達文書
・組織体の環境要因
・組織のプロセス資産

主税: 「プロジェクト憲章」には以下の事項が記載されております。その内容を分析し、ステークホルダーを特定すればよいのですね。

・プロジェクトの目的
・成功基準
・ハイレベルな要求
・前提条件
・制約条件
・ハイレベルリスク

【ステークホルダー特定 その2】の②おわり

**

【ステークホルダー特定 その2】の③

 

主税:そう致しますと、それぞれ以下のように、定義されていますので、これをもとにステークホルダーを特定してみましょう。

◆目的:
江戸幕府(綱吉)の公平な裁きを得ること
① 主君浅野内匠頭の名誉回復(一方的な処分に対する)
② 家臣(武士)として主君への忠義を果たす

◆成功基準:
① 吉良上野介への相応の裁き(公平な裁き・・・罰するということ)
② 忠臣武士としての評価(切腹(武士の名誉)・・・打ち首ではなく)

◆ハイレベルな要求:
① 失敗を許されない(再挑戦ができない)プロジェクトである
② 極秘で進める必要がある(違法行為のため)
・・・バレたら即プロジェクト中止。すなわち、プロジェクト失敗

◆前提条件:
① メンバーは家臣(武士)のみによる編成・・・忠臣(大義名分の維持)
② メンバーはプロジェクトの成否にかかわらず実行後、死罪となる

◆制約条件:
① 準備作業も含め極秘で行わなければならない
② 実行時期がその直前まで確定しない
③ プロジェクトは「大義名分」に基づかなければならない

◆ハイレベルのリスク:
① 実行後死罪となるため、チーム崩壊の可能性がある
② プロジェクト計画がばれる可能性がある
③ プロジェクト資金が底をつく可能性がある

内蔵助:うむ、そのようにしてくりゃれ。

【ステークホルダー特定 その2】の③おわり

**

【ステークホルダー特定 その2】の④

 

<しばらく、プロジェクト憲章をもとに何やら書き出していた主税は、顔を上げるや否や>

主税: 父上、凡そではありますが、主だったステークホルダーが判りました。

内蔵助:おおっ! 早いな!!主税、どれどれ、どんな感じだ?

主税: はい。

先ず、「目的」から、

「将軍綱吉さま」および「幕閣の方々」が主要なステークホルダーであるものと特定できました。

内蔵助:うむ。どうしてそのように思ったのだ?

主税: はい。このプロジェクトの目的は、「江戸幕府から公平な裁きを得る」ことであるからでございます。ただ、江戸幕府とはいっても大勢の方がいらっしゃいます。

そこで、「裁定」の最終決定者である「将軍綱吉さま」、そして、綱吉さまのご判断に影響を与える「幕閣の方々」を特定したのでございます。

内蔵助:うむ。良い視点じゃのう主税。 さすがわが大石家の若き棟梁じゃ。

主税: いやぁ~! おほめのお言葉おはずかしゅうございます。

【ステークホルダー特定 その2】の④おわり

**

【ステークホルダー特定 その2】の⑤

 

内蔵助:そういえば、綱吉さまは、先の刃傷事件での即日切腹の裁定を、誰の意見をも取り入れることも無く、即断したのを、気にしているようすと聞いておる。

その裁定に関して、江戸市民はおろか、幕閣内でもいろいろと悪評がたっているとの、噂が耳に入り、それ以降何かにつけては、儒学者あるいは僧侶の方々に意見を求めているとのことじゃ。

主税: それでは、意見を求めている方々も、間接的にではありますが、プロジェクトの成否に影響を与えているのでございますね。

判りました。これらの方々も追加して置きます。

次に、「成功基準」でございます。

先に挙げた方々の他に、「吉良上野介さま」及び吉良家の方々、また、上野介さま嫡男であられる、上杉家当主「上杉綱憲さま」及び「ご家来衆」の方々も挙げられます。

内蔵助:うむ! よいところに目を付けた、「上野介さま」に何かあったら、「綱憲さま」は、黙っちゃおるまい。ましてや、上野介さまは、綱憲さまの嫡男を、吉良家の跡取りとして養子に迎えておる。

<このようにして、ステークホルダーの特定は進められた>

【ステークホルダー特定 その2】の⑤おわり

**

【ステークホルダー特定 その2】の⑥

 

<しばらく特定作業を進めた結果、以下の方々が、ステークホルダーとしてリストアップされた>

1. プロジェクトの成否に影響を与える方々

裁定に関する:
・将軍綱吉、幕閣の方々、綱吉のブレーン(学者、その他見識者)民衆

プロジェクト遂行及び結果に関する:
・旧浅野家関係者
・浅野内匠頭弟(大学さま)、浅野内匠頭妻(瑤泉院)、
・浅野本家(広島)
・筆頭家老大石内蔵助および親族
・浅野家家臣、浅野家取引業者(討ち入り武器などの調達)

吉良家関係者:
・吉良上野介、親族および吉良家家来、上杉家

【ステークホルダー特定 その2】の⑥おわり

**

【ステークホルダー特定 その2】の⑦

 

2. プロジェクト遂行、成果から影響を受ける方々(上記1.以外)

諸大名:江戸幕府法順守か、武士の法の順守か、いずれの裁定が下されるのか注目
(組織体の環境要因、組織のプロセス資産)

場合によっては、諸大名への取り締まりがさらに厳しくなる可能性あり。また、その逆の可能性もある。

赤穂藩の民衆:「農工商」で赤穂藩と取引のある方々(組織体の環境要因)

プロジェクトチームメンバー(47士)の親類・縁者:
(組織体の環境要因、組織のプロセス資産)

内蔵助:主税、よくここまで、ステークホルダーをリストアップ出来たのう。見事じゃ。

それでは、これらステークホルダーを今少し具体的に分析してみよう。

【ステークホルダー特定 その2】おわり

戻る

Copyright© iValue plan All Rights Reserved
PMBOK® Guide, PMP®は、プロジェクトマネジメント協会(Project Management Institute, Inc.)の登録商標です。