大石内蔵助が、その息子、主税に、伝授する「実践的プロジェクトマネジメントの極意」
【ステークホルダー特定 その4(分析技法を使ってステークホルダー分析を行う)】の①
主税: 父上!
ステークホルダーの分析が終わりました。
内蔵助:おう! ちから。
どれどれ、うーむ、ずいぶん頑張ったのう。ありがとう。
それでは早速説明してくれ。
「関与度と影響度のグリッド」をもちいた分類までは、概ね大丈夫だろうから、最後に「突出モデル」の分類について説明頼むぞ。
主税: はい、畏まりました。
【ステークホルダー特定 その4】の ① おわり
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【ステークホルダー特定 その4】の ②
主税:突出モデルとは、
「権力(自分の意思を他に課す力)、緊急度(直ちに対処する必要性)、正当性(参加の妥当性)に基づきそれぞれのステークホルダーを分類する手法でございます。
このような観点で分類しますと、先ず、綱吉さまが絶大の権力をおもちです。そして、幕府内ではそれぞれの役割に応じた権限が定められておりますので、これらも考慮に入れる必要があろうかと存じます。
また、吉良上野介さまはご隠居なされましたので、ご子息、吉良左兵衛義周さまが吉良家のご当主となりました。
さらには、上野介さまご嫡男であられる上杉綱憲さまは米沢藩主17万石の藩主でもありますので、江戸屋敷だけでも、いつでも300名の家臣を動かせる力がございます。
【ステークホルダー特定 その4】の ② おわり
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【ステークホルダー特定 その4】の ③
主税:一方、我が旧赤穂藩においては、主君を失った浪士70名。盟約を交わしたとはいえ、彼らに対する権限がどの程度及ぶものか、甚だあやしいところでございます。
いずれにしましても、これらの分類はプロジェクトそれぞれの局面で活きてくる内容でございます。
すなわち、綱吉さま及び江戸幕府の方々に置かれましては、この我々の企み(プロジェクト)が、実行を終えたとき、あるいは表面化(ばれた)ときのモデルでございます。
また、上杉綱憲さまは、立場上、討ち入り後にはその権限を発揮することは困難だと考えております。何となれば、我々赤穂浪士を追撃すれば騒乱罪となって、幕府の処分を受けるのが明らかだからであります。
したがって、討ち入りを阻止するための吉良邸の警護に力を注ぐものと思われます。
【ステークホルダー特定 その4】の ③ おわり
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【ステークホルダー特定 その4】の ④
内蔵助:主税! よくぞそこまで分析したものだ。
礼を、いうぞ!
よし、それでは、念には念をいれて、主だったメンバーの意見も聞くことにしよう。
我々が気づいていない重要なステークホルダーもいるかも知れぬ。
特に、江戸にいなければ判らないことも数々あろう。
また、我々が認識していないことがらも出てくるかも知れないからな。
【ステークホルダー特定 その4】の ④ おわり
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【ステークホルダー特定 その4】の ⑤
<上方を中心に主だったメンバーにヒアリングを終えた主税は、その結果を、内蔵助に報告した>
主税: 父上! 上方の主だったメンバーにお話を伺いましたところ、以下の盟約に参加したいと願っているものがおる事がわかりました。
内蔵助:ん? それは誰じゃ?
主税: はい! 藩医である 寺井 玄渓(てらい げんけい)さまにございます。
また、他にも足軽の方々が名乗りでております。
内蔵助:うむ! その気持ちはありがたいが、この目論見は、「主君仇討ち」という大義名分が必要である。
したがい、メンバーは仇討ちが許されている「武士」でなければならない。寺井殿も足軽の面々もその気持ちは有り難いが、残念ながら、メンバーに加えるわけにはまいらぬ。
して、江戸詰めの浪士に対してはどのように考えておる?
主税: いや、まだ具体的には何も。やはり600キロも離れていますと、どのようにしてその情報を得たらよいものか。。。
内蔵助:それでは、江戸詰めの最年長者である堀部弥兵衛に書状を送り、江戸側のステークホルダーを特定しその動きを分析することに致そう。
【ステークホルダー特定 その4】おわり
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